(Hi)Story

なぜ瀬戸田に来たのか。その経緯や私の生きる道?思いをつらつらと綴ってみました。


「なぜ瀬戸田に?」

縁もゆかりもなかったこの地に来て、住み着いた私に、みんなが聞く。無理はない。

その答えは「たまたま来て、可能性や自分の居場所がつくれる。」と、感じたからだ。

 

私は大学を卒業し、就職したかった先のいわゆる生協(それが関西よつ葉連絡会)の“食べ物を通じて世の中のことを考えよう”“農家と消費者をつなげよう”のモットーに共感を抱き、3年間企画として勤めさせてもらった。そこで全国の様々な生産者と出会い、いずれは私も…という思いは強まっていた。

そんな中で、自分の仕事の仕方(文章を書き、伝える仕事だったので煮詰まった感があったのと、社会人としての自分のあり方に反省した)に行き詰まり、修業させてほしい!と無理をいい、働いていた会社のグループ内にある農場を紹介してもらった。それがたまたま瀬戸田にある農場だった。

 

初めは一年くらいで大阪に帰るつもりだったので、場所はどこでもよかった、くらいの思いで来たのに、ここでの様々な出会いの中で、私はここに自分の居場所を見つけたような気がして移住を決意した。貯金もない、コネもない、知識もない私がここで生きていくことで、新たなライフワークを提唱出来たら。なんてエラそうなことを考えて、無謀すぎるチャレンジを始めた。前の社長、ごめんなさい、である。

 

まず、一軒家を月に1万円で借りられたのがラッキーだった。2反のはっさく畑と1反ないくらいの野菜畑を借りた。そして、アルバイトをして月に10万円ほど得て生活した。

『百姓になりたい!』と言う私を(きっとほっとけない思いで)サポートしてくれた大家さんや、年配の方々には、私が島(町)おこし関係のNPOに入り、いろんな企画を考え実行しようとしている姿は面白くなかったようだ。無理もないと思うし、今思えばもっとうまくやればよかった、と反省するが、楽しかったし、やりたいこととは、「きれいで美味しい野菜を作ること」ではなく「地域を作ること」=“畑を中心に人が集まり、子どもたちが健やかに育てる環境、みんなの心のふるさとをきずくこと”だったので、自分の中では間違いなどなかった。

 

そんな生活の中で出会いがあり、高根島の農家に嫁ぐことになった。嫁ぎ先の環境もあり、やりたいことがやれるのか、相当悩みはした。しかし、子どもを産むことこそが一番の地域、社会のため、とも思ったので(単純に子どもが好きだし、ほしかった!)決意した。もちろん、旦那への愛もありました(笑)

 

翌年には一児の母に。「どんだけ急スピードな展開やねん!」と人にはつっこまれるが、自分ではイメージの範囲内である。

 

 

瀬戸田をみんなのふるさとに!

私は世界の社会問題や人権問題などに敏感な方で、時折見るニュースなどに憤りや疑問を感じていた。そして高校二年生の時に実際に見た途上国と呼ばれる国フィリピンのスラム街の現状、ストリートチルドレンや、劣悪な環境でも屈強に、そして温かく生きる人たち。

そこで日本の現状と照らし合わせ、豊かさを考え直すきっかけを得た。また、なぜその人たちがそのような生活を強いられているのかという原因に、我々の生活が影響しているということも学んだ。「途上国の現状は他人事ではない。自分たちの生活を見直すことにこそ、世界をよくする解決策がある。」そう強く感じた。「じゃあどうすればいいのだ。」その答えを探し、実行していかなくてはと思った。

 

様々な本や人との出会いでたどり着いたところが、「共生」をテーマにしたオルタナティブアクションの拠点を築くことである。様々な人や自然と共に生きていく。とてもシンプル且つ基本的なことだが、ここにこそ豊かな生活があるのだと思った。一部の権力者を中心とした世界の構造ではなく、フラットな関係。これがまた抽象的なのだが。

 

その実現には、まずは地方と都市の関係を見直さないといけないと考えた。

都会集権の社会構造。町おこし、と言えば、地方が都市生活者に対して媚びているような関係に、私は思えた。「お金をおとしてください」「移住してきて下さい」

でも、それだけで地域は再生するのか。また、逆に3.11以来浮き彫りになる都市生活の限界。そのバランスを保つため、それぞれの良さを生かした新たな関係を築き、人々の選択肢を増やすことこそが今、必要なのではないかと考えた。

 

 

瀬戸田ではそれが可能だという可能性を感じたのだ。

しかし、結局、頭でこねくり回しているだけではいけない、口だけなら誰でもできる。

それがこの数年でひしと感じることである。

 

地域でうまくやりながら、皆にわかりやすいように、より具体的に動く。

思いがあってこそだが、経済的なメリットや結果も出さなければ納得はさせられない。

そう思い、今やるべきことを一つずつやろうと思う。優先順位を考えながら、長期スパンで物事をとらえ、焦らず、確実に!!